農業・市場・競争

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元のツイート自体に言及したいわけじゃなく、ただそれに対する反応を見ていると、競争というものが何か酷く勘違いされている印象を受ける。政府が農家をリングに放り込んで蟲毒するようなのをイメージしているんじゃないか。しかし競争を導入せよというのは単に、政府は余計な手出しをやめよというだけのことだ。

 たとえばある土地を田んぼにするより賃貸住宅地にした方が儲かるとすれば、それは人々が住宅サービスに対してより大きな金額を支払ってくれるから、つまり、そちらのほうが人々からより求められているからだ。所有者は自分が儲けるために、この土地を賃貸住宅地にすることを選ぶだろう。人々からより求められているものを提供した生産者がより豊かになれる。これが市場における競争だ。

 ここで政府が、たとえば補助金によってこの土地を農地のままに維持した場合、特定の生産者が補助金を受け取れるという点で不公平なだけじゃなく、人々がより強く求めていたはずの賃貸住宅の供給が損なわれてしまう点で、より非効率な仕方で土地が利用されることになる。

 誤解の余地はないと思うけど、僕は農地を潰して住宅地にせよと言っているわけじゃない。土地をどのように使うかを政府が指図しようとするの自体がおかしいということだ。米が欲しいか、野菜が欲しいか、部屋を借りたいか、そんなことはお金を払う人自身が一番よく知っている。*1 *2

*1:余談だけど、農業政策を見ると、自民党が新自由主義で競争を推進してきたなんて話はちゃんちゃらおかしく思われる。小泉政権のときに一時期そのような政策の萌芽は見られたけども、中途半端な形で終わっている。全体としては自民党は農家を補助金漬けにし票田化してきた。森友加計も真っ青だ。

*2:食料自給率については、

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