2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

価格理論と駒場の思い出

昔授業を受けた先生が教科書を出したのを本屋で偶然知った。学部二年生の夏、初めて履修した経済学科目だった。社会科学の方法に疑念を持っていた僕は、集合論と解析学を使った演繹的な議論に強く興奮を覚えた。 例えば経済学の仮定する個人は「合理的経済人…

「生産狂時代」と在庫循環

grapee.jp 上のリンクは「生産狂時代」という漫画で、最近ツイッターで流行した。企業が従業員の労働時間を増やして生産を拡大するが、売上はどんどん下がってしまう 。働き過ぎで商品を買う時間が無くなったという真相だった……というストーリーだ。 もちろ…

負債のパラドックスの正体――公認会計士試験で学ぶ企業会計

自社の倒産可能性が前期末より高まった場合に,自社が発行した社債の時価評価を当期末の財務諸表に反映したとすると,期間利益にどのような影響を及ぼすと考えられるか,簡潔に説明しなさい。ただし,評価差額を純資産の部に直入する処理については言及しな…

多重課税のこと

商品を仕入れて販売している単純な会社で、海外との取引がなく、借入れもなく、在庫を持たず、従業員もいない。この会社が支払う法人税は(売上ー仕入)×法人税率となり、消費税は(売上ー仕入)×消費税率となる。このような単純な会社のみから成る世界では…

余剰資金よりもむしろ利益剰余金に課税する方がマシである

news.yahoo.co.jp 内部留保に課税するなら貸借対照表の右側(利益剰余金)ではなく、左側(資産)の余剰資金に課税すべき、という意見を見かける。僕の見解は逆だ。僕はあらゆる内部留保課税に反対だが、あえて課税するなら余剰資金ではなく、利益剰余金を課…

内部留保が過去最高というけれど、過去最高を更新しなかった年は過去56年で9回のみ

そして内部留保が減少した9回は2005年を除けばバブル崩壊、通貨・金融危機、ITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災の年で、どれも景気後退時である。

国境と経済と独立と収奪と

www.theguardian.com カタルーニャが独立すればスペインはGDPの20%を失う。もちろん、これによってスペインの人々の生活水準が20%下がったりはしない。カタルーニャとその他のスペインは、政治が邪魔をしない限り、今まで通り経済活動を続けるだろう。 そし…

市場と政府と貧困の神話

神話がある。かつて自由放任の市場の中で人々は貧困に喘いでいたが、政府部門の拡大が市場の猛威を食い止め、人々を貧困から解放したという神話だ。これを神話と呼ぶのは話がまるごと引っくり返っているからだ。神話は出来事の後から作られるが、その出来事…