2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

政府機関はもやしの価格を「適正」にすることができるか?

headlines.yahoo.co.jp 日本の公取には安値販売を企業努力と見る意識があるが、英国には加工食品の小売価格が適正かどうかを監視する政府機関があり、参考にすべきだ 価格の話だけで数量に触れることなく議論が進んでしまう。僕には不思議で仕方ない。上の記…

値引きもクーポンも悪くない

www.mag2.com 値引きやクーポンを不況や低賃金の原因と考える議論は、そもそもどうして売り手が値引きするのかということをさっぱり忘れてしまっている。値引きするのは、単価が下がっても数を売ったほうがいいと売り手が判断するからだ。 粗利400円で1日50…

イラストの価格破壊と経済学の補助線

togetter.com イラストの価格相場が3万円であるとき、イラストを2500円で提供する人々の参入は僕らの経済をより貧しくするだろうか? 今日はちょっと変わった方法でこの問題を考えようと思う。補助線を引くのだ。 2500円でイラストを提供する人々と3万円で…

農業・市場・競争

b.hatena.ne.jp 元のツイート自体に言及したいわけじゃなく、ただそれに対する反応を見ていると、競争というものが何か酷く勘違いされている印象を受ける。政府が農家をリングに放り込んで蟲毒するようなのをイメージしているんじゃないか。しかし競争を導入…

研究者が公金で養われることを当然だとする見解について

http://b.hatena.ne.jp/entry/twitter.com/mixingale/status/929004106462642176 「研究になぜ公金をつっこむのか」って意見があるみたいだから研究活動の成果を公金を支払って一括利用する仕組みをやめて全部逐一利用料をとりたてる仕組みに変えてみたらい…

貿易収支を気にすることが不毛である根本的な理由は

貿易収支を気にすることが不毛である根本的な理由は、それが個々の経済主体の取引を特定の恣意的な仕方で集計した結果として表れる統計量にすぎないからだろう。 いま、一定の領域を持つ「世界」の中に無数の経済主体が存在している。各々の経済主体は互いに…

豊田市は都民の仕事を奪うか?

www.nikkei.com たとえば僕が東京都に住んでいて、豊田市で生産された300万円のプリウスをローンで買う。この取引は僕にとってもトヨタにとってもよいことだ。なぜなら僕は買いたくて買ったのだし、トヨタは売りたくて売ったのだから。 もし都民から自動車製…

減損の非対称性

100億円の事業投資を行う次の2つの状況を考える。 ケースA:利益率が2%で無リスクのプロジェクトに100億円を投下する。 ケースB:利益率の期待値が2%であるが、プラスマイナス5%の範囲で利益率が変動するプロジェクト甲に50億円を投下する。残りの50億…

新収益認識基準またはIFRS15の基本的思考

新収益認識基準が2018年4月から早期適用可能になる。その主な内容はIFRS15やUSGAAPのTopic606と基本的に同一である。ここでは5ステップの適用といった具体的な話ではなく、基準のベースにある思考法を解説する。 新収益認識基準の中心には「履行義務」という…

課税と歪み

例えば政府が窓1つに対して年間10万円の税を課すと決める。ある家の主人は税を逃れるために4つある窓のうちの1つを塞ぐ。このとき政府の税収はプラス30万円だが、家の主人の負担は30万円と窓1つとなる。 この税制はばかげている。というのは初めからこの…