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グラフは主要先進国*1のGDP*2だ。90年代以降、日本だけが成長から取り残されている。失われた20年の所以だ。
ところが、生産年齢人口1人あたりGDPを見ると、別の姿が浮かび上がる。*3
失われた20年といっても、その前半と後半とでは様相が異なっている。90年代は依然として「失われた10年」だが、このグラフからは、2000年代に相対的に貧しくなったのは欧州の方だ。
生産年齢人口1人あたりGDPで高い成長率を記録した日本がGDP成長率で劣る理由は高齢化だ。他の主要先進国に比べて、日本の生産年齢人口割合*4の下落は圧倒的に早い。
だからバブル崩壊の90年代とそれ以降をまとめて、日本が経済面でひとり負けだったと語るのはやや乱暴に思われる。だいいち、2000年代半ばは好景気で*5、CPIだって上昇を始めていたじゃないか*6。それがいつの間にか日本は90年代以降ずっとデフレで、20年が丸ごと失われたかのように語られる。僕らはどうしてこうも忘れっぽいんだろうか?
僕は日本はまだ成長の余地を残していると思っている。2000年代から今に至る経済政策が完璧だったとはちっとも思わない。でも2000年代における低成長のもっとも大きなところの原因に、例えば経営者が搾取しているせいだとか、官僚があえてそういう政策をとっているのだというような勧善懲悪や陰謀じみたストーリーを描くなら、僕らは事実さえ拾い損ねてしまうだろう。