雇用調整、正社員、過労死:僕らの労働市場を病的にしてきた仕組みについて

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欧米の企業は従業員の数を増減させることで仕事の増減に対応する。一方、日本の企業は従業員一人当たりの仕事時間を増減させることで仕事の増減に対応する。

 日本流の時間調整は正社員の雇用を守る仕組みとして機能してきた。不況でもクビを切らない。好況でも従業員を増やさない。この仕組みから排除された非正社員は自殺し、正社員は一人で膨大な仕事を抱え込んで過労死する。

 さて、僕らの社会は今、このような過労死を防ぐための工夫を探している。でもその答えを、長時間労働の規制や企業内での働き方の変化に求めることは、もとより無謀な試みだ。長時間労働は正社員の雇用を保護するための必然だったからだ。

 労働時間を縮減するには、雇用調整が従業員一人当たりの仕事量ではなく、従業員の人数の調整によってなされることが可能でなければいけない。そのためには労働契約法をはじめとする解雇規制を打ち破る必要がある。それは労働身分差別と過労死を生み出してきた正社員という仕組みを解体する作業にほかならない。