日本の労働生産性に関する基本的な事実

今から言うことは大した話じゃないけど、巷の議論を見ていると意外に共有されていないようなので記事にしておく。なおここで労働生産性はGDP per hour worked (USD, constant prices, 2010 PPPs)を使っている。 

日本の労働生産性は昔から低い

他の主要先進国と比べて一貫して低い。ジャパンアズナンバーワン等と言われた頃でも普通にG7最下位だった。バブル崩壊や失われた20年で順位が下がったわけじゃない。

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失われた20年の間も労働生産性は上昇している

上のグラフの通り、労働生産性は2007から2009年の期間と2015年から2016年の期間に低下したのを除き、バブル崩壊後も上昇を続けている。

労働生産性の成長率は漸減している

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 グラフは労働生産性の成長率(対前年)。長期的な趨勢として日本の労働生産性の成長率は低下している。ただし、これは欧州の先進国も同様。米国はあまり低下していないが、1970年の時点でもともと高くなかった。単に、経済が成熟するにつれて収益機会が減少するというだけのことだと思われる。

2000年代の成長率では日本の一人負けというより米国の一人勝ち

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1枚目のグラフを2000年=1.0として書き直したもの。2000年代の日本の労働生産性の成長率は他のG7諸国と比べても遜色がなく、むしろ上から数えたほうが早い。日本が低いというより米国(特に2000年代前半)の調子が良すぎた。その米国も近年はやはり停滞気味だが。