3個のリンゴと彼女とのデートの効用は比較できる

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3個のリンゴと彼女とのデートの効用は数値では比較できない。それでも人間はその時その時の状況で選択し行動している。それが市井人の生き様というものではないか。

 彼女とデートする予定がある人に、3個リンゴをあげるからデートに行かないでくれ、と言ってみればいい。彼がそれを受け入れれば、リンゴ3個は彼女とのデートよりも大きな効用を彼にもたらすということになるし、受け入れなければ、彼女とのデートの効用のほうが大きいということになる。

 この効用を数値で表す必要はないけど、表したければ、例えばデートの効用のほうが大きい場合、デートの効用は2、リンゴ3個の効用は1というように適当な数字を割り当てればいい。現代のミクロ経済学では序数的効用といって、効用は大小関係にだけ意味があると仮定されている。別に数字の大きさ自体に意味を持たせなくてもミクロ経済学の体系は作れてしまうからだ。

 どうしても意味を持った数字で3個のリンゴと彼女とのデートを比較したいなら、X円あげるからデートに行かないでくれ、と言ってみればいい。徐々に価格を上げていって、例えば3万円でデートをやめるなら、彼にとって彼女とのデートの価値は3万円ということになる。これは彼がリンゴ3個に払う金額と普通に比較できる。*1

*1:全然余談だけど、行動経済学ブームについて言えば僕もあまり気分がノらない。行動経済学が好きな人って経済学が好きなんじゃなくて心理学が好きなんでしょ?