技術流出?

例えば東芝の半導体事業が海外資本に買収される。この「技術流出」によって東芝は特に損をしない。技術の分だけ高く売れるのだから。後から考えると安く売りすぎたということはあるかもしれないが、それはどんな取引にだって言える。

 海外への「技術流出」で他の日本企業が損をすることもない。ソニーやルネサスにとっては日本資本の東芝と競争していたのが、海外資本の(元)東芝と競争することになるだけだ。

 税収が減って日本政府が損をするということもない。利益が海外に流出することで課税ベースが減るように思われるかもしれないが、東芝の側では失った将来利益に見合うだけの売却益が生じるので、そちらに課税できる。

  誰かが何か損をするとすれば、日本の政治家や官僚が海外に「流出」した事業への影響力を失って、利権や天下り先が減ってしまうことはあるかもしれない。もちろん、それが守られるべきものだとは僕は思わない。