教育が投資であることは国債で資金調達すべきであることを意味しない

【日本の解き方】「こども保険」に反対する財界、さらなる法人税率引き下げ&消費増税の支持の政治的立場 (1/2ページ) - zakzak

企業経営の発想からみると、有効な投資であれば借り入れで賄うはずであり、税で賄うという発想は出てこないはずだ。(上記リンクの記事より)

国の教育支出に関して、最近、しばしば上のような主張を見かける。つまり、企業であれば投資は負債によって資金調達する。国が行う教育も同様に投資であり、したがって税ではなく負債である国債で資金調達すべき、という主張だ。

 けれどこの主張は前提から間違っている。企業の投資(=資産の形成、BSの左側)は負債(銀行その他からの資金調達)によって賄われても、純資産(株主からの資金調達)によって賄われても、いずれでも構わないからだ。

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 国は納税者が資金を拠出しあって運営されており、だから企業にとっての株主は、国にとっての納税者に相当する。実際、国の財務書類はそうなっていて、税財源は国の純資産増減のプラス項目になる。*1

 設備投資を新株発行で賄うことが企業の選択肢になるように、教育投資を税金で賄うことは国の選択肢になる。投資だから国債だという単純な話は成り立たない。国債か税かという問題はそんなことでは決着しない。

*1:税財源は資本の拠出ではなく売上に相当するものではないか、と言う意見があるかもしれない。僕はその意見は成り立たないと考えるが、仮にそれを認めるとしてもこの記事の議論は崩れない。売上だとしても結局、PLを経由して純資産に組み入れられるからだ。企業との対比で言えば、内部留保による資金調達を設備投資に回すことが可能なのと同様である。