ハリケーン、交通整理、価格

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経済や社会の問題には自然科学と違った特有の難しさがある。地球が動くべきじゃないと考えるのは何かの原理主義者だろうけど、非常用品の価格が高騰すると、そうあるべきじゃないという考えが多くの人に自然に沸き起こってしまう。

 べきかどうかを考える前に、何が起こっているかを虚心坦懐に眺めたなら、アマゾンが非常用品の価格を据え置いても問題が解決しないのが分かる。起きることはただ、お金を多く払える人から順番に買えていたのが、クリックした順番になる。

 問題は商品が足りないことで、価格の高騰はそれを映すシグナルだ。非常用品を手元に余らせていた人々は、価格が上がるのを見て出品を増やすだろう。そうして品不足は解消していく。

  もしも需要に合わせて価格を引き上げる人々を市場から追放したら、そのとき僕らの経済は本当に破滅的な品不足に見舞われる。彼らはいわば価格という信号機で、商品があるべき場所に向かうように交通整理をしてくれているのだ。*1

*1:もちろんどこかの誰かが慈善や宣伝を目的に価格を据え置くのも自由だ。でもそれを強制すれば、価格はシグナルとしての役割を果たすことができなくなる。