なぜ行政がAmazonから小売店の雇用を守ってはいけないのか

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トランプ米大統領は16日、ツイッターで、米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)が「税金を支払っている小売店に大きな被害をもたらしている」とし、「米国の町、市、州に影響を及ぼし、多くの仕事を失わせている」と非難した。

ある大工は毎日、1人で椅子を3脚作っている。ところがある朝、彼は電動のこぎりが壊れているのに気がついた。この日彼は息子にお金を払って、1日手動ののこぎりを挽かせた。

 電動のこぎりが壊れたおかげで雇用が1つ増えたわけだけど、この経済はちっとも豊かになっていない。だって出来上がる椅子は3脚から増えていないから。むしろ電動のこぎりが壊れなければ、息子は別のバイトをしていたか、あるいは単に余暇をエンジョイできたはずだった。

 何が言いたいかというと、雇用が増えるように見えても、僕らの経済が貧しくなる場合があるということだ。従来のビジネスの雇用を守るために新規ビジネスを行政が排除するような場合はいつだってこれにあたる。

 というのは、もし従来のビジネスを守ることが雇用を守ることになるのなら、それはつまり、貴重な労働力をそれだけ新規ビジネスに比べて非効率に使っていたということだからだ。

 まさにそれゆえにこそ従来のビジネスは駆逐されようとしているわけで、それを防ごうというのは虚しい試みだ。雇用を増やすために電動のこぎりを壊して回っても、僕らは豊かになれはしない。*1

*1:上に引用した記事では税金の問題にも触れている。Amazonが他の小売店に比べて不当に安い税金しか払っていないのならたしかに問題だ。それは税制の問題だから、トランプ大統領自身が頑張ればいいのではないか。