世界のGDPに占めるある国のシェアは、世界全体のGDPをW、ある国のGDPをYとして、
ただしコブダグラス型生産関数を仮定している。*1 *2その変化率は、
最後の項はすべての国にとって共通なので、各国を比較する際には無視でき、結局ふつうの成長会計の問題になる。*3
主要各国について比較するとこの通り。*4 *5多くの発展途上国はグラフに含まれていないけど、発展途上国の成長率は比較的高くて当たり前なので気にしなくていい*6。
さてグラフに含まれる各国の中では、労働投入の寄与は日本が最も小さい。というより、むしろマイナス方向に大きく寄与している。日本の労働力人口は1998年をピークにすでに減少に転じている。人口減少だけが原因とは言わないけど、*7それが日本のGDPシェア低下にとって大きな要因なのは疑いない。*8
*1:この仮定は広く使われているもので、Aが全要素生産性、Kが資本投入、Lが労働投入。アルファはパラメーター。
*2:民主党の枝野氏は人口減少を需要要因と見ているようだけど、長期の人口動態は生産側から分析されるべきだ。
*3:そもそもGDPのシェアが伸びるというのはGDP成長率が他国より高いということだ。
*4:出典はOECD Compendium of Productivity Indicators 2016
*5:グラフは上の式とやや異なるが、資本投入をICT capitalと Non-ICT capitalにさらに分解しているだけである。
*6:ふつう美味しい投資機会から順に利用されるし、先進国が経験した技術進歩を後追いすればいいからだ。
*7:このグラフからは分からないが、労働力の稼働率が寄与している可能性はある。
*8:もっともGDPシェアの低下がそれほど悲観すべきことかはまた別の話。