強力な解雇規制はいかにして人材派遣会社の「中抜き」を作り出すのか

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利用企業は人件費を変動費にできるほか、派遣人材の質に悩まされなくなる。事業再編のペースが速いIT(情報技術)業界やゲーム業界での利用を見込む。

 解雇が難しければ、人を雇うことはどうしたってリスクになる。仕事がなくなっても人件費を生み続けるし、期待した成果を上げなくても別の人材に入れ替えることができない。

 そこで直接に人を雇うのじゃなく、派遣会社が利用される。仕事がなくなれば派遣を止めてもらえばいいし、期待した成果を上げなければ代わりに別の人を派遣してもらえばいい。

 このとき、仕事の有無や人材の質についてのリスクは派遣元の企業が負っている。「中抜き」と批判されることもある派遣会社の利益はその対価だ。人材派遣業とは「人を雇うリスク」を取引する商売だといえる。

 こんにちの厳しい解雇規制は「人を雇うリスク」を労働者自ら負うことを厳しく妨げている。このために労働者は必然的に「中抜き」されてしまう。「中抜き」を防ぐには労働者自身が解雇リスクを負うことができなきゃならない。そのとき労働者は解雇リスクとともに、「中抜き」されていた対価を自らの手に取り戻すことができる。