雇用をセーフティーネットにしてはいけない

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使用者側が『これだけ払えば解雇できる』という目安ができてしまうと、労働者の雇用もお金でコントロールされかねない」と懸念を示した。

企業は公器であって、儲かる儲からないといった都合で労働者を解雇すべきじゃない、という考え方は根強い。これは労働者の生活を保障するセーフティーネットの機能を、雇用という形で企業に負わせる考え方だ。

 けれど、消費者の需要は刻一刻と変わるし、企業を取り巻く環境も一定じゃない。消費者の期待に応えられない企業は利益を上げられず、事業を縮小せざるをえない。その際に解雇された労働者が市場に放出されることで、より人手を必要とする成長産業のための人材が供給される。

 経済の効率性はこのような動的なプロセスによって保たれる。強力な解雇規制は、企業や産業がより効率的な構造となるための動きを塞き止めてしまう。それは僕らの経済が生み出す価値を減らし、その災厄は貧しい労働者たちにこそ強く降りかかるだろう。

 セーフティーネットがもし必要ならば政府が労働者の所得を直接補償すべきで、企業にその役割を負わせるべきじゃない。農民の雇用が奪われるからといってエンクロージャーを禁止すれば、産業革命は起こらなかったかもしれない。