ロボット税は必要ない

wired.jp

もしロボットやAIのせいで税収が減るなら、僕らの政府はとっくの昔に困り果てていなきゃおかしい。というのは僕らの生産活動は、とっくの昔からロボットとともにあるからだ。どの工場にもベルトコンベアーや自動組み立て装置があるし、どんな事務職もパソコンを使っていて、ワードやエクセルで仕事をしているじゃないか。

  じゃあ政府はどうやってロボットから税金を徴収しているのかって? 簡単だ。僕ら労働者はロボットと一緒に仕事をして、売上を稼ぐ。そこから人件費が僕ら労働者に支払われる。残った部分がロボットの取り分、すなわち、ロボットの所有者である法人の利益だ。ゆくゆくは法人の利益は配当され、株主の所得になる。

  つまり、ロボットに課されるべき税金は、法人税と配当所得課税ですでにカバーされているわけだ。ロボットやAIといったところで企業が所有する無数の資産の一種にすぎない。ロボット専用の特別な税制は必要ない。

  いや、必要ないどころか、ロボット税は創設されてはならない。というのは、例えばなんらかの原始的な工具と、それよりも生産性の高い「ロボット」があったとする。後者を導入すべきだが、しかしロボットにより重い税金が課された場合、生産性の低い前者が選ばれてしまう場合がある。限りある資源が生産性の低い手段に費やされることで、僕らの社会は貧しくなる。だからロボット税なんて場当たり的な税を作っちゃダメだ。税金はできるだけ、企業家の賢い選択を歪めないような形で課さなきゃならないんだ。*1

*1:またロボット税を徴収するために、「これがロボットだ」と決めてしまえば、ロボットに当てはまらないぎりぎりのところを攻める工夫に貴重な資源が費やされてしまうのも見え透いたことだ。